誰か食べて
ホトトギスガイは内湾などの閉鎖的な海域で足糸を絡めたマットを作り、その上で群をなして生活しています。マットに覆われてしまった堆積物中のアサリなどは、窒息死してしまうので、汚損生物として嫌われています。中海ではほとんど年中浮遊幼生がいて、少しでも空いた場所があると素早く侵入し、急成長します。その為か、指でつぶせるほど薄い殻です。
私は、ホトトギスガイが優占する大きな原因は、酸素不足だと考えています。堆積物の上で丸見えの上、殻も薄いのですから、捕食者からすればいいカモです。捕食者が生き残れる酸素があれば、ホトトギスはすぐにいなくなると思います。試みにアカニシを入れたら、あっというまにこの通り、中を食べられてしまいました。それにしても、えげつない食べ方ですね。イシガニやガザミも食べていました。
現在の中海でこれを食べるのは鴨だけで、シジミのように人間が食べれば水質浄化になるのだが、と生態学琵琶湖賞の受賞講演で話したら、もう一人の受賞者である香港大学のダジョンさんから「香港では人が食べてるよ」と、さらっと言われてしまいました。